チンパンジーの知恵袋

中国語を学ぶチンパンジーが面白いと感じたことを綴ります

中国のパブコメ:「男子青少年の"女性化"防止の提案」について

 

久しぶりの更新です。

 中国のとあるパブリックコメントに対する教育部の返答がweiboで話題になっていました。パブコメとして提案されていたのは「关于防止男性青少年女性化的提案」というもので、直訳すると「男子青少年の女性化防止に関する提案」となります。

今回は話題になっていた返答とそこで僕が知った中国語について書きます。

提案について

 2020年5月に中国全国政治協議会(中国人民政治协商会议全国委员会)の斯泽夫が「关注和防止男性青少年“女性化”趋势」(直訳:男子青少年の"女性化”傾向への注目と防止について)を提出しました。協議会は国民の意見をまとめて提出する制度です。

 その提案の中で斯泽夫は、昨今中国の男子青少年の中で弱々しかったり、自信がなかったり、臆病だったりといった傾向が見られることを指摘し、中華民族の生存発展に害があるとしました。

 斯泽夫はこの現象の要因は複雑としながらも、「娇生惯养(jiāo shēng guàn yǎng)」を原因の1つとして上げています。娇生惯养は甘やかして育てるという意味です。かつて実施されていた一人っ子政策下で生まれた子供は当然大事にされるわけですが、成長過程でお母さんやお婆ちゃんなど女性と一緒にいる時間が長かったりします。また、学校でも女性の先生が多いなどの環境要因も指摘されています。

 このような環境では「阳刚之气」、つまり逞しさが育まれないと斯泽夫は言います。阳刚之气については後半で説明します。 

教育部の返答について

 当該現象をどう捉えるかは別の議論があると思いますが、出された提案("女性化"を防止すべき)に対する教育部の返答が今回weiboで話題になっておりました。

 返答として教育部は「体育教師の充実」「学校体育制度の強化」「健康教育の深化」「関連研究の拡大」の4つを上げています。「男性」「女性」といった表現はないのですが、「更多注重学生“阳刚之气”的培养」という部分が注目されました。簡単にいうと「学生の男らしさの養育に力を入れましょう」という感じです。

 

原文はこちら

www.moe.gov.cn

 

 今の時代に政府の教育部がこのようなことを言えば当然反感を呼びますよね。日本でもたまに議員の発言がきっかけとなり議論が巻き起こりますね。中華民族の生存発展が脅かされるとかほんまかいなと思ったりします。北の方の女性と南の方の女性で性格が違うとよく言われるので、それぞれからどんな意見が出てるのか絡めて分析したら面白いかもですね。

 提案に関する内容についてはここら辺で留めておき、後半は中国語の表現について書きます。

阳刚之气

 教育部が使った「阳刚之气(yáng gāng zhī qì)」ですが、阳刚は逞しさ、男らしさの意味です。Baiduの百度百科には気質や意思の強さを示すとあります。余談ですが、Baiduのページには阳刚之气を涵養する食事方法としてマグネシウムやビタミン、繊維質の摂取について細かく説明があってちょっと面白いです。 

その他スラング

 関連記事やweiboの投稿を見る中でスラングを知ったので紹介します。

小鲜肉

若くて可愛いイケメン(年轻,帅气的男性)の意味。性格はガツガツしておらず大人しい感じ、シュッとしたスタイルのイメージでしょうか。

奶油小生

二枚目、やさ男の意味。奶油はクリームの意味。もともとは80年代のとある映画の二枚目俳優がクリームが好きだったため、他の出演者が「奶油小生」とからかったことから来ているらしいです。Baiduでは阳刚之气と対比されています。

 1と0

 今回の件に関するweiboの投稿の中にいわゆるバズった投稿がありました。それは「为啥这几年教育部老要培育阳刚之气啊,是教育部的人都觉得找不到1吗?=なんでここ何年も教育部はずっと阳刚之气を育てようとしてるのか、教育部の人間はみんな"1"が見つからない(いない)と思っているのか」という投稿なのですが、この1の意味が最初わかりませんでした。友達に聞いたらいわゆるBLの攻めの意味のスラングでした笑。ちなみに受けは0だそうです。

 これに関するスラングとして、「无1无靠」、「遍地飘0」があることも教えてくれました。興味のある方は調べてみてください笑。

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找不到1吗

 

 去年の1月にコロナで留学が終わってからもう1年経つと思うとびっくりです。 次海外に行けるのはいつになるんでしょうか...昨年5月に当時のことについて書いてるのでよかったら是非。

 

kangaeru-chimpanzee.hatenablog.com

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。